ネパール遭難日誌91

12/26(Day3)

午前7時起床。板チョコを半枚ずつ食べる。気分も比較的良く、今度は北西へ向かい、ランドルンよりのtrailを探すことにする。(「死」に関する言葉が、彼の口から初めて出る・・・まだこの時はシャレだった)彼は荷物を少し置いていった。
 天気は曇り。やや寒い。出発2時間後になっても何も見つからない。行けども行けどもどんどん険しくなるばかりゆえ、trail探しを断念して引き返すことにする(自分のtrace→足跡をつたって)。
 1時間後traceを見失う(雪がなく、traceが残らない状態になっていた)。さらに雨が降り始める。再び靴、靴下などが濡れる。寒い!
 幸運なことに、再び巨岩を発見。しかし、東〜北向きで、少し湿っぽい。荷物を置き、ひと休みするが、イライラは募るばかり。彼は何とかして水を確保しようと、雪を集めたり、雨水を集めようとしたりしていたが、いずれもあまりうまく行かなかった。
 僕は、雨ではどうしょうもない、とジッと座っていたら(足が非常に寒かった)、彼は
"Are'nt you afraid of death? I'm thinking of death, how to death."などと話しかけてきた。状況はそれほど厳しいのか、と驚いた。

 "I'm not afraid of death itself, but how to get dead, the condition."
 私は言った。
"Bit by bit?" 彼が尋ねた。
"Yeah." (会話の内容もかなり寒い・・・)

彼はかなりナーバスになっており、怒りっぽくなっていた。
 僕達は暖をとるため、火を起こそうとしたが、木が乾いていないため、何度もやってみたが結局うまく行かず。
 相変わらず雨は降り続く。(ガイドブックでは、この時期は晴天が続く、なんて書いてあったのに!)あまりにも寒いので、とりあえず僕は、
東側の岩の割れ目(写真を撮る)に、彼は北側の岩の下にて寝袋に入り、休むことにする。彼の方は小さな洞穴(火を焚こうとしていた)のそばで、追い出されたコウモリが彼を襲ってくる、とブツブツ言っていた。僕の方は岩の中で、多少寒さはしのげるかも知れないが、なんといっても窮屈である。
 それでも午後5時半頃には、あたりは暗くなり、明日のためにも眠る努力をする。何度も体位を変えて、なんとかウトウトと眠る。(寝返りをうっているとき、力んでしまい、少しウンコ(下痢便)をもらしてしまうが、外に出るわけにもいかないので、そのままジッと我慢する)